生き物にまみれて暮らす主婦レポート in 東京

生き物に関する知識と、栄養管理士の資格などを駆使して日々試行錯誤しているダイアリーです。

詩集「 八木重吉詩集」週末は本を読もうよ⑥



こんにちは、そしてこんばんは、スイミンです。


せっかく週末のシリーズ化に(一応)したのに、
最近本の話を書いていなかったので、

久しぶり書きたいと思ったときに真っ先に浮かんだのが、


詩人・八木重吉さんの詩集です。

この人、私大好きな詩人さんなんです(^-^)/
ということで、今回は、


八木重吉詩集」週末は本を読もうよ⑥のご紹介です。



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八木重吉さんはすでに故人です(享年29歳)。明治生まれ、大正育ち、昭和2年での逝去でした。
同世代の詩人や作家さんには、草野心平さん、そして作家の宮沢賢治さん、


など、いろいろいらっしゃいます。八木重吉さん亡きあと、ちょうど中原中也さんなどが世に出てきた(有名になっていった)という時系列ですが、

生きていたら同じ時代の詩人として活躍していたかもしれないな、と想像します。



たくさんの有名著名な作家さんや詩人さんに囲まれて、まるでひなげしの花のようにひっそりと咲いていた詩人さん、

それが八木重吉さんです。


若くして亡くなられていますが、死因は肺結核です。



詩人として生存中に、世の中でものすごく有名になることなく、この世を去りましたが、
詩人界では無名ではなかったようです。(秋の瞳、を上梓。)

高校生からクリスチャンであり、また、教師でもあり、没後も熱狂的なファンが後を絶ちませんでしたが、

生前に上梓したのが、「秋の瞳」のみ、であり、
その他3000近いと言われている名作を、世に送り出したキッカケとなったのが、加藤武さんです。「貧しき信徒」


この八木重吉詩集」は、没後22年目にようやく世に出ていますが、何度か改訂版も出ています。




詩人・八木重吉さんの人となりなどについて。



秋の瞳、の序にある、

「私は、友が無くては、耐えられぬのです。しかし、私にはありません。この貧しい詩を、これを読んでくださる方の胸へ捧げます。
そして、私を、あなたの友にしてください。」

(原文まま)

という出だしがあまりに衝撃的で、
キリスト教徒ではありませんが、わたしは若い頃にその独特な世界観にあっという間に引き込まれました。そのまま、今に至ります。


華々しい詩人さんであっても、詩人というのはどこか、孤独であり、孤独を愛し、刹那的なものを愛し傾倒していく傾向が強いですが、

八木重吉さんの場合の、

「しかし、私には(友が)ありません」

の意味は、孤独を愛するというよりも、孤独が切なく、辛く、「友」という意味はおそらく、

「心の内をすべてさらけ出せる友人」

という意味であったように感じます。(あくまでも個人の感想です。)


つまり、詩の世界では真に孤独だった人なのかもしれません。


結婚されていましたが、詩人として、孤独であったということだという解釈のできる人です。

なおかつ、クリスチャンであったので、

八木重吉さんの住む世界観に共感できる人が、当時は少なかったのではないかということも想像に難くありません。


ちなみに、東京都町田市に、
八木重吉記念館」があるので、興味のある方は、一度足を運んでみるといいと思います。



八木重吉詩集について



八木重吉詩集は、今では有名になった「秋の瞳」からはじまり、

「貧しき信徒」、「重吉詩稿」、「花と空と祈り」(重吉詩稿補遺)の四部構成に分かれていますが、読むと、キッパリ分かれている印象は特にありません。

ただ、「重吉詩稿」になってくると、やはり病の影がチラホラ見えだしてきます。
クリスチャンならでは、という内容ばかりではないところが非常に魅力なのですが、


全114ページにも及ぶ中から個人的に好きな詩をいくつかピックアップすると、(著作権があるのでほんの少ししか書けません)


「赤ん坊が わらう」(秋の瞳)

赤んぼが わらう 
あかんぼが わらう
わたしだって わらう 
あかんぼが わらう


「冬」(貧しき信徒)

木に目が生って(なって)人を見ている


「よぶがゆえに」(桐の疎林)

よぶがゆえに
みえきたるものあり
よぶことなければきえゆくものあり 


「本当のもの」(母の瞳)

どうしてもわからなくなると
さびしくてしかたなくなると
さびしさのなかへ掌をいれ
本当のものにそっとさわってみたくなる


など、短い中に感情のすべてが凝縮されていて、

読み手の心にダイレクトに響きます。そして、意味を、ふと思い返してしまうというか、あとで考えてしまいます。

かなり儚げな印象の詩が多いですが、なんとかして明るいほうへ行こうとしているような、凡人には見えないどこかの境地に行こうとしているような、

なんとも言えない気持ちになります。ですが、暗い、という印象は私にはなく、ところどころで、自分を投影してしまう作品が盛りだくさんです。

そんな、八木重吉さんの詩集、「八木重吉詩集」。




八木重吉全詩集〈1〉 (ちくま文庫)



私が持っているものとは違いますが、こちらは全詩集(1)です。

秋の瞳、貧しき信徒、ともにすべて手元に置いておきたい方には、ぜひおすすめの一冊です。


以上、今回は、

詩集「八木重吉詩集」週末は本を読もうよ⑥




でした。



ありがとうございました(^^)





スイミン(skyaya)