左足が写っていない写真の話。
久しぶりに、最近書いていなかった、「怖いはなし」を書きたいと思います。
金曜日、土曜日の夜、ふとお暇な時間などにどうぞ。
私が書く怖いはなしは、今のところ全部実話ですが、読んで何か悪いことが起こるとか、そういうことは(たぶん)ないと思うので、
エンタメ的に楽しんでいただけたらいいな、と思います。
左足が写っていない写真の話。
小学校3、4年生くらいの頃、学校の行事で大きな公園での遠足のようなものがあった。
通っていた小学校から徒歩で行ったが、何をしに行く行事だったのか、よく覚えていない。
今もある、芝生の広い広大な公園だ。
遊びの時間になったときに、当時まだまだ活発だった私は友だちと走り回っていた。
そのとき、カメラマンが同行していた。
よくある、あとで学校で販売するための写真を撮るカメラマンだ。
私は走り回っている姿を写真に撮られた。
撮られた、というのは、写真が実際に学校で販売されてから知ったのだが。
その写真を、自分で買ったのか、親が買ったのかはよく覚えていないが、気がついたら手元にあった。
その写真は、走り回っている私の左足の膝から下が写っていなかった。
後ろに写っている友達は、全身がクリアに写っているのに。
それが気持ち悪く、私は友だちにも、自分の足が写真に写っていない話をした。それは覚えている。笑い話のようにしていた。
走り回っていたため、偶然、動きの加減で写っていないだけかもしれない、
などと思っていた。
その写真は、気がついたら手元にはもうなかったし、もちろん今も持っていない。ただ、膝から下がスッパリ切れたかのように、向こうの木の緑が代わりに写っていたのがあまりにも印象的だった。
それから10数年後の20代前半に、私は酔った状態で自転車に乗っていて、自宅への帰宅途中に、転んだ。
飲み屋さんの前の縁石にペダルがひっかかり、交通量の多い道路で自転車ごと派手に転んだのだ。
左足の膝から下がおかしな方向に向いていたので、
こちらに向かって走ってくるまぶしい車のヘッドライトをボンヤリ見ながら、
あー、このままだと死ぬ。
と思った。動けなかったからだ。道も暗かった。車は私に気づいていなく、私は動けなかった。
覚悟して目をつぶっていたら、上半身をものすごい力で誰かに引っ張られ、私は縁石の上へ持ち上げられた。
ちょうど、飲み屋から知らないおじさんが出てきて、道に倒れたままの私を、引っ張って助けてくれたらしいのだった。
「出てきたらひかれそうになっててさぁ」
と、飲み屋のおかみさんみたいな人と話していたので状況が飲み込めた次第だ。
私はと言うと、あまりにも足が痛くてさっぱり動けず、かろうじてお礼だけが言えたような状態で、飲み屋のおかみさんのような人が、連絡先を聞き、すぐに自宅へ連絡してくれた。
自転車は私より縁石側に倒れており、無事だった。
翌日から、そのまた翌日にかけて、私の左足の膝周りがひどく痛み、腫れて、病院へ連れて行ってもらった。
そして、その日のうちに膝から下までギプスの生活になった。どうやら、膝の皿の損傷がひどかったらしい。
その状態が10日間続いた。
10日間経ってから、ギプスを外せるようになった。左足だけ痩せ細っていて、右と左がアンバランスな状態だったが、
もっと問題だったのが、膝に水が溜まるという状態。
この水を抜くために、膝に太い針を刺すのだが、
まさに、悶絶もの。
痛い、痛い。筋肉注射の極太版のようなものだった。
そういった状態がしばらく続き、水があまり溜まらなくなった頃、一応治療は終了になった。
しかし、本当は終了ではなく、それ以上やりようがなかったのだ。
複雑なことはわからないが、膝にある柔らかい健のような部分が伸びてしまっており、治すには何やら大掛かりな手術が必要とのこと。
しかも、ちゃんと治るかもわからないらしい。
私は手術を断念した。
それ以来、左足の膝をおかしな方向に曲げると、いわゆる膝カックンのような状態になるため、
例えばバスに乗るときのほんの小さなステップや、
階段などで、何度かカックン状態になり、いきなり転ぶことが多々あった。
今では、どういう動きをしたらカックンになるのか大体把握しているため、滅多になることはない。が、
私は思い出す。
あの、左足の膝から下が写っていない写真のことを。
あれは、もしかしたら、いずれ起こるかもしれない怪我の警告だったのでは?
そして、あのとき、偶然飲み屋さんからおじさんが出てきてくれなかったら。
私はもしかしたら、今ここにいない。
おしまい。
というわけで、以前、この記事の下のほうにもちょっと書いていますが
私が左足(膝)を怪我したのは、このような経緯があって、でした。
日常生活に特に支障はないし、普通に歩けるし、走れますが、膝をねじる系の運動はほぼできません。
なんだか知らないけど、私はこういった、危機一髪的な、悪運が強いです。
ともかく、それ以来、酔った状態で自転車に乗ることは2度としなくなりました。法律違反ですしね。
完全に自分が悪いのですが、たまに、もしかしたら、酔っていなくても私は縁石にペダルを引っ掛けちゃう予定だったのかなぁ、
なんていうことと、写真のことを、思い出して、
ゾッとすることがあります。
体のどこかが切れているような写真があったら、
たまたまかもしれませんが、
一応、
お気をつけください。
以上、
左足が写っていない写真の話。
でした。
ありがとうございました。
skyaya