「老人と犬」ジャック・ケッチャム 週末は本を読もうよ。
いきなり本にシフトしてしまいました。
週末は映画を観ようよ、も書きたいのですが(来週は書きます!)
今回は、私が今でも忘れられない大好きな本、
「老人と犬」
のご紹介です。
ジャック・ケッチャムさんは、デビュー当時、ホラー界の帝王・スティーブン・キングから大絶賛された人です。ペーパーブックからあっという間に有名になりました。
基本的には描写があまりにも過激・かつ残酷で、情け容赦のない部分の多いホラー作家さんです。
なので、出す本出す本、とにかく残酷っぷりが半端ないのですが、
そんな中で、
「老人と犬」は珍しくラストが温かく、私にとって忘れ難い1冊です。
画像はキレイですが、自分が持っている実物は、読み倒しすぎてボロボロです(笑)
だから、写真撮れませんでした(^_^; カラー表紙が見当たらないのです。
本は本当に気に入ったものはボロボロになっても読み倒す私です。
今後も、たぶん表紙がなくて困る本を書くと思います。すみません。
あらすじ
なるべくネタバレしないように頑張ってみます。
気ままな一人暮らしをしていたラドロウという老人。釣りをしたりするのが好きで、愛犬と一緒に行動することが多いです。
しかし、ある日、平和な日常が銃弾によって破壊されてしまいます。
それは、愛犬の死。
しかも、近所の悪ガキ少年たちの中の一人が発砲したことによって、愛犬が、
なんの罪もなく殺されてしまいます。
ラドロウの悲しみと怒りは、頂点に達し、
彼は、一人でひっそりと、「復讐」を誓います。
復讐の対象は、未成年者たち。しかし、復讐に燃えるラドロウには関係がなく・・・。
続きは、作品でお楽しみください(*^_^*)
書評・読みどころ ー日本人こそ読みたい作品ー
日本には、少年法があるため、例えばラドロウのような目に遭って、被害届けを出しても、報われないことがほとんどであると思います。
少年法には賛否両論がありますが、「老人と犬」を初めて読んだときの私は、
(ネタバレ注意)少年への復讐シーンに、正直「ざまあみろ」という、恐ろしい気持ちになりました。
それがなぜかと言えば、犬をあっけなく殺しておきながら、彼らはそのことを、すっかり忘れているということや、
特に何不自由のない生活をしているということが、
背景にあります。
何の努力も要らない生活を当たり前と思っている少年たち。
ちょっと怖いことだと思います。
私も男の子の母親なので、気をつけたいと今では思いますが、読んだ当時は母親ではありませんでした。
でも、母親になった今でもやっぱり、爽快感を覚えてしまうと思います。
そして、犬を殺した少年の兄弟や周りの少年。
彼らは直接手を下してはいないのですが、被害者(ラドロウ)にとっては同罪になるという、被害者の恨みや怒りの強さに圧倒されます。
しかし、ジャック・ケッチャムはそのあたりの描写がとても上手く、
罪がない、わけではないかもしれないということをこちら(読み手)に納得させるだけの残酷な技術があります。
そして、ラドロウは法的に裁かれない(ネタバレ)ところがまた、一種の爽快感を呼びます。
それだけの深い悲しみであり、怒りであり、恨みであるわけなんですが、そのあたりのことが、読み進むうちに気がついたら納得してしまっている、
淡々と進むラドロウの復讐っぷりがすさまじいです。
少年と言っても、年かさの子は体も大きいので、
例えば老人であるラドロウが、力で復讐しに行けば敵いませんが、そこは、
亀の甲より年の功。
ラドロウもちゃんと承知している上での、復讐劇。
他にも、ラドロウの息子のことなどの絡みもうまく出てきます。
そして、復讐を終えたラドロウに待ち受ける、
温かいラストに思わず泣いてしまいます。
あんまり書くと完全にネタバレしてしまうので、このへんにしておきますが、
私は、ジャック・ケッチャムの作品の多くは、映画化はまず無理だろうと思います(映画化したものもあります)。
そこがこの作家さんの魅力で、やっぱり、映画化は無理な設定の作品のほうが、読むなら私は好きです。
映画は好きですけどね!
湊かなえさんの「告白」などは、映画もとても良かったし、本も面白かったですが、
逆に、映画はつまらなかったけど本は面白かった、という作品もいろいろありました。
そんな中で、
ジャック・ケッチャムの作品は、私は
映画化は絶対に反対です!(笑)
好きなものの話になると、やっぱり熱が入ってしまいますね(^_^;
日本人の発想にはあまりない、ジャック・ケッチャムの、
唯一?ラストはほっこりな作品
「老人と犬」
のご紹介でした。
- 作者: ジャックケッチャム,Jack Ketchum,金子浩
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1999/06/01
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泣きますよ。
そして、泣きたいあなたにも、どうぞ。